the poem と Riprap EXPERIENCE




11/4,5に名古屋の古着屋the poem clothing storeにてポップアップイベントを行います。
メインアイテムはポエムが買い付けしたハンガリー軍のコットンネルスモックをベースに、リップラップでカスタムしたスナップカーディガン。

リップラップでは古着をベースとしたカスタム製品をRiprap EXPERIENCEネームを付けて展開しています。

“Experience is not what happens to you.
It is what you do with what happens to you.”

-経験とはあなたに起こったことではなく、
あなたに起こったことをどう受け止めたかである。

これはブランドでカスタムを初めた2016年頃に知ったオルダス・ハクスリーの言葉で、
「コア突いてんなぁ…カッコよ。。」
と思い、古着は人から人へ廻ってくものだから、経験を上書きする意味を込めてその言葉から引用しました。

…で、今回作ったのはこのアイテム。
オリジナルはこちら(ビフォー)。


カスタムしたものはこちら(アフター)。

the poem x Riprap EXPERIENCE
SNAPPY CARDIGAN -HUNGARIAN MILITARY SMOCK-
COLOR: BLEACH WHITE, OLIVE
SIZE: ASSORT
PRICE: 24,000JPY(26,400JPY)

右胸ポケットと伸びた衿フライスを取り除き、センターフロントをチョップして
杉綾テープを縫い付け、ドット釦を多めに打ちました。
ちょっとだけ中央寄りになった左胸のポケットがキュートな仕上がりです。

もうひとつ、このカーディガンにぴったり合うロングリブの手袋も作りました。
(c/#:オレンジはthe poem別注。他の色は今回のイベントで先行発売です)
ぜひリブをクシュっとして合わせてみてください。

Riprap
O/F LONG GROVES
COLOR:
ORANGE(EXCLUSIVELY FOR THE POEM),
BROWN, KELLY GREEN, H GRAY, BLACK
SIZE: FREE
MATERIAL: 100% WOOL
PRICE: 7,000JPY(7,700JPY)

イベント2日間はリップラップ製品とマッチする古着をポエムクルーが陳列してくれるそうなので、今からぼくも楽しみにしています。
あとウチからはアーカイブや通常展開していないユニークなアイテムも持っていくので充実したラインナップになると思います。

イベント当日が小春日和になることを祈ってのインディアン・サマー。
愛知の方も、少し遠方の方もこの機会にぜひ遊びに来てください。







-POST FROM N

L’ÉTIQUETTE MAGAZINE

SCREEN STOREでフランス、パリのメンズファッションマガジン”L’ÉTIQUETTE”の取り扱いをスタートします。

マーク・ボウジェ: 雑誌”HOLIDAY”編集長、ジャーナリスト。
バジル・カディリ: メンズセレクトショップ”BEIGE Habilleur”オーナー。
ゴーティエ・ボルサレロ: ヴィンテージショップ”Le Vif”オーナー兼メンズブランド”FURSAC”クリエイティブ・ディレクター。

L’ÉTIQUETTE MAGAZINE(ル エチケット?レチケット?呼び名はどっちでもいいや)は、この3人が編集長となり年2回刊行されるファッション誌。

ぼくが初めてこの雑誌を知ったのは上野アメ横センタービル内にある老舗アメカジショップ”YAYOI”にて。たしか2020年のコロナ真っ只中にショッピングに行ったとき、レジカウンターにパサっと置かれていて
「カッコいいデザインの表紙だなぁ。読みたいけどスタッフのお兄さん怖いしなぁ…」
と好奇心を押し殺し、カバーデザインを頭に焼き付けた記憶がある。

その後インスタでレチケットマガジンのアカウントをフォローし、アイフォンの画面を眺めては
「またイイ感じのスタイリングをアップしてる♥」
と心を踊らせていた。

せっかくだしフランスから取り寄せて読んでみると納得することが沢山あった。
この雑誌に掲載されている洋服や靴は、古き良き時代のアメリカの量産品が多かった。

イイ感じにやれたカーハートやペンドルトンのワークウェア、リーバイスのジーンズ。
コットンリップのジャングルファティーグパンツや、フィッシュテールのM-51などのミリタリーアイテム。
大量生産されていたラグランスリーブのコットンスウェットシャツ、多色刷りのバンドTシャツ。
あとはコンバースオールスター。
どのアイテムもレプリカを使うんじゃなくて当時モノの古着を使用している様子にグッときた。

それらのアイテムをシャルベの仕立ての良いシャツや、ウェストンのローファー、グッチやプラダのメゾンブランドの現行物と組み合わせている。

最先のモードや、認識しやすいブランドロゴがくっついたアイテム、名のあるクラシックが優先される現代において、この雑誌を作っている人たちは完全にファッションを並列に見て編集している。その目線こそがレチケットマガジンのクールさだと思った。

なんだか少し前の日本のファッション誌にあった感覚にも似ていて、ほんのりノスタルジーも匂ってくる。それは、この前おこなったリップラップの展示会でユニクロの木下さんがスタジオの作業台に置いてあるレチケットマガジンを見て、
「なんか良いよね。ぼくも好きなんだよねこの感じ」
と言っていて辻褄が合った。

この雑誌を見てクローゼットからリーバイス505を引っ張り出して穿いてみた。
「ふーん。目線ねぇ。だよねぇ…」
そんな独り言を言いながらビールの栓を抜いた。

-POST FROM N

RECRUIT




この度、リップラップでは一緒に働いてくれるスタッフを募集します。

・仕事内容
ウェブショップ”SCREEN STORE”の管理や、
リップラップを取り扱って頂いている卸先さんとのコミュニケーションをとる営業職。
生産管理のアシスタント業務。スタイリストさんへのリース。
展示会での接客や、スタジオイベント時の販売員等…
とにかくやることは様々あります。
自営ブランドなので「つくること、売ること、卸すこと、貸すこと」
ファッションの一連のサイクルを体験できるかと思います。

・募集事項
とにかくファッションが好きな方。
洋服づくり、ものづくりに興味がある方。
リップラップの活動や製品が趣向に合う方。
上記の仕事内容に意欲的な方を望んでいます。
また、
自分で将来ファッションを営みにしようと夢をもっている方。
経験者、未経験者問いません。
*但し、仕事とプライベートを分ける方の応募はご遠慮ください。

・募集人数
1名

・休日、休暇
基本的に日祝定休。土曜日は隔週休日。
夏季、年末年始休暇。

・待遇
アルバイトからスタートしていただきます。
*試用期間3ヶ月有り
その後、能力を考慮の上、社員検討いたします。

・応募方法
履歴書と志望動機を書いた上、下記まで郵送でお送りください。
書類選考後、面接させて頂く方にのみご連絡いたします。
尚、応募書類の返送はいたしませんので、ご了承ください。

〒101-0025
東京都千代田区神田佐久間町2-12 きりやビル1F
RIPRAP STUDIO 西野宛


熱をもった方の応募をお待ちしております。

以上
よろしくお願いいたします。
 

 
Riprap 西野裕人

OPEN STUDIO 2-3 JUL 2022




OPEN STUDIO at RIPRAP STUDIO

7/2(SAT) 12:00-19:00
7/3(SUN) 12:00-19:00

RIPRAP STUDIO
東京都千代田区神田佐久間町2-12

3ヶ月ぶりにオープンスタジオを行います。
今回はリップラップサマーアイテムと、スクリーンストアで展開しているセレクトアイテムの販売。
そしてハンドクラフテッドスーツのカスタムオーダーを承ります。

また、WEBでは販売しないピア・トゥ・ピアなスペシャルteeを用意しております。
これは前回の投稿に書いたアイテムです。
どんなアイテムなのかは是非スタジオでご確認ください。

年に4,5回開催するこのイベントはぼくたちが愉しみにしている時間です。
辺鄙な場所ですが、ゆっくり見てもらい楽しい談話ができたらと思います。

この機会にぜひリップラップスタジオにお越しください。



– POST FROM N

ピア・トゥ・ピア




昨年、後輩とスタジオで呑んでいるときにおもしろい言葉を聞いた。

“ピア・トゥ・ピア”

これはコンピューター用語でいうところ、
サーバー(提供者)とクライアント(利用者)といった区別なしに、接続されたコンピューター同士が同格で通信し合うネットワーク形態。
また、他人を介さない当人同士の同等のコミュニケーション。
…という意味。

ぼくたちがふだん使っているパソコンやスマートフォンで共有している情報は当たり前にサーバー管理されており、個人やブランドが発信している情報はそれに準じて投稿している。

現在、リップラップのインスタグラムのフォロワーは2200人ほど。
ひとつのブランドのフォロワー数としては決して多くはないが、マンモス高校の生徒くらいの人数が見てくれていると思うとドキッとする。

とても便利に情報を発信できる世の中で、
「現代ってすごいなぁ」
と、感じる一方
「一体リップラップのアイテムを着てくれている人はこの内何人いるんだろう?」
と考えるようになり
「ファッションビジネスは便利になったけど、ぼくたちのファッションはサーバーやシステムに沿ったことでしか発信できないのか?」
と思うようになった。

写真やアートまたは文学では、SNSやインターネットのカウンターとして(もしくは並走して)ZINEやリトルプレスがある。
それは紙にダイナミックに印刷された言葉や写真で、ぼくの感情を揺さぶってくる。
「そんなものを洋服で作れないかなぁ。できれば手に取りやすいアイテムで」
と思い、酒の席での言葉そのまま-PEER TO PEER-と題してTシャツを作った。


今回、リップラップの取扱店に協力いただき
インターネットやSNSの掲載を一切禁止し、店頭での発信/販売のみのアイテムとして提案します。

-PEER TO PEER- tee 6/10発売
取扱店舗
業-nariwai- (宮城)
NCNR (石川)
Sunday people (東京)
horkew (愛知)
the poem (愛知)
JUDGE by MOLDNEST (岡山)
AUGGIE (鹿児島)

また、ぼくたちが販売する際も同様に
リップラップスタジオで行うイベントでの販売とします。(7月くらいに開催…予定…)




全てが画面でチェックできる世の中。
時には秘密を分け合いましょう。





-POST FROM N

O wonderful, wonderful. . .



ホームページのPHOTOSを更新しました。
見てもらえると嬉しいです。



ルック撮影を担当してくれたのは今月末にアムステルダムに旅立つ小林直人くん。
彼との出逢いはぼくがブランドデビューした7年前。

ウェブマガジン<フイナム>の取材でウチにやって来て、
撮影中に話をしていたら同い年でフォトグラファーとして独立したばかり。
自分と境遇がピタッと一致してそのままエディターさんを交え3人で
駅前の西口やきとんに行きビールを傾けた。

後日、その時の取材の校正を見て「ムムっ!」となり、
それはガラスのテーブルに反射したぼくの姿をメインカットにセレクトされており、
「初めてウチに来てサクッとこんな画を撮るんだ。」と唸った。
それからちょくちょく呑みに行く仲になり時々ルックや物撮りをお願いした。
(いつも薄給でゴメンね。)

新型コロナウィルスが広がり始めた一昨年の春、
街は自粛ムードで何やればいいんだかよくわかんない毎日。
展示会もすっ飛んで仕事がなくて暇でヒマで彼に
「最近なにやってんの?」
と電話したところ、
「縄跳びやってるよ。結構いいよ。AMAZONで買いなよ。」
と勧められ購入し、スタジオの外で何度か二重跳びをしたところでふと我に返り、
おっさんがひとりガチで縄跳びしてんのバッカみたい!
…と思い、それ以来ハンガーラックの隅っこにかかったまんまでございます。

話が変な方向に向かっているのでここらで軌道修正。
そうそう。ルックの話。

縄跳びを勧めらた電話の際に
「今年は久しぶりに撮影しようよ。モデルは決まってんのよ。お義父さんを撮ってくれない?」
と伝えたら
「うん。いいよ。」
と、二つ返事で承諾をいただいた。

その年の暮れ、マスク越しでもわかる焼酎の臭いがプンプンするお義父さんをスタジオに招き、
小林くんに撮ってもらった。

これはその時の一枚。
ぼくはこの写真が大好きだ。




リップラップの今シーズンのテーマは
“O wonderful, wonderful…”

O wonderful,
wonderful,
and most wonderful wonderful!
and yet again wonderful


これは以前、金沢の鈴木大拙館に行った際に掛け軸に書かれていた言葉で、
哲学者の鈴木大拙は東洋の”妙”を、西洋のシェイクスピアのこの一文に感じたと記されていた。

旅に出て得ることとは、もしかしたら自分の心の核を知ることなのかもしれない。




37歳で活動拠点を変えることはとても勇ましいと思います。
小林くんの決断力と行動力に頭が下がります。

身体に気をつけて向こうでの生活を楽しんで下さい。

そしてまた一緒に撮影しよう!
もちろんその後のビールもね♡





-POST FROM N



追記
そうそう。
結局今回のルックのことをなんにも書けていないですね…
それはまたいつか。

ROCK LAMP STYLES

ふーーーっ。
世の中は明るい話題がないですね。
困ったもんです。

そこでリップラップで間接的に空間を(気分も?)明るくするフロアランプを制作しました。
今週末の発売に先駆け、ランプと電球のスタイリングをしてみたので
ぜひ参考としてご覧ください。

…と、その前にランプのご紹介。
アイテム名は「ROCK LAMP」。
名前の通り石(岩)のランプ。
栃木県の宇都宮市大谷町で採石される天然石<大谷石>を使用し、
肌面を叩いて凹凸ある表情に仕上げてもらいました。
ハンドメイドならではの個体差が魅力です。

建材として有名な大谷石はやわらかく、ミソと呼ばれる茶褐色の斑点が
独特な趣ある風合いをつくっています。

「そうね。フランク・ロイド・ライトが好んで使っていた大谷石ね!」
そう思ったあなたは博識!座布団(笑点)でもキューブ(J.Y.PARK)でも喜んで差し上げます。

さて、本題です。
ぼくたちで組んだものをご紹介!ヒャウィゴー!
(このランプの電球の口金サイズはE26です。ご注意下さいませ)

BEAT SONIC ONLY ONE
NEW SIPHON “OLIGINAL” -LDF29D-
弊社リップラップスタジオで使っているLED電球はほぼコレ。
シンプルなボール型に突起がある形状はロックランプにも相性◎
全光束が500ルーメン(40W相当)あるので中々明るいです。
本が読めます。


BEAT SONIC ONLY ONE
THE BULB A60 -LDF38D- [SILVER MIRROR]
こちらも信頼のビートソニック。
上部半分がシルバーで覆われたタイプ。
光が反射して下部に集まり、石の縁が稜線のように床に映る。
なんとも言えない幻想的な明かりが楽しめます。


IKEA
RYET
イケア(アイケア)の一番ベーシックなLEDフィラメント電球リエート。
100ルーメン(10W未満)なので暗めです。
映画を観るときにいいんじゃないかと思います。
なんと言ってもコスパが◎


IKEA
LUNNOM しずく形
こちらもイケアのLEDフィラメント電球。
縦長形状がロックランプのデザインも変わって映り、
これはこれで面白いです。
リエート同様に100ルーメン(10W未満)暗め。
こちらもコスパ良し。イケアってなんでこんな価格で出せるんでしょう…??


IKEA
LUNNOM チューブ形 ブラウンクリア
またしてもイケアのLED電球。
ユニークなマッチング。
大きいチューブ形のガラスが石の上に乗っかったような組み合わせがクールです。
想像もしなかったスタイルは正にニューウェーブ。
今回最も暗い80ルーメン(5Wほど)。
間接照明が2個以上あるお部屋にはぜひこちらをお勧めします。


…と、今回組んでみたランプスタイルは以上です。
電球によって全く違う見え方になりました。





今回紹介したライト以外に、
スピーカーが内蔵された電球や、電球とスマホがブルートゥースで連動し、
リモコン機能になるものがあるそうなので、
電気屋さんに相談するのもいいかと思います。


この製品はリップラップの取扱店(アパレルのセレクトショップ)で展開されます。
洋服のコーディネートを組むような感覚でランプと電球をチョイスし、
お部屋に設置いただけたら嬉しいです。



最後にこのランプの制作にあたり
慣れない家電の取扱説明書をレクチャーしてくれたエンダースキーマ柏崎くん。
そして制作に関して常に丁寧な対応をしていただいたビークリエイト森さん。
何より、快くランプ制作を受けてくれた元ALASKAガールズのドレッド姉さんこと瀬戸さんakaバドゥさん。
この場を借りてお礼申し上げます。

誠にありがとうございました。




-POST FROM N

彫刻家とプーマスエード




今年の正月明け早々、青山のスパイラルへ彫刻をやっている増井岳人さんの展示を見に行った。

岳人さんの作品は、人の首上の輪郭を柔らかな線で模った形状が特徴的で、今回の展示ではその輪郭の作品に蓄光塗料が塗られており、これまで以上にユニークな仕上がりになっていた。

一通り作品を見たあとは岳人さんと、いつもお世話になっている帽子屋の一歩さんと共に向かいの青山ブックセンターにあるカフェに行きコーヒーを飲みながら、ぼくが前日に観た映画”パラサイト”の話や、ポン・ジュノ作品の話をした。
「ソン・ガンホは日本で言うところの西田敏行なんじゃないか?」
「西野はパラサイトの地下に住んでいた家政婦の旦那みたいだな」
とか…いつもどおりのテキトーな話をしたり、されたりしてキャッキャと楽しんだ。

そろそろ岳人さんが展示会場に戻る時間になり、一緒に246沿いを歩いてるとき
「西野くんが履いてるそのプーマスエードは昔のなの?」
と言われ、
「いや、これは3,4年くらい前のモデルです。少し細く作られていて気に入ってるんスよ」
「いいねスエード。おれも若いとき履いててね。そんな感じの細いビンテージっぽいの。いいね」
と、褒められて嬉しくなった。

先週、リップラップの展示会にプーマジャパンの野崎さんが来てくれ、これから発売される新作のプーマスエードを頂いた。細く綺麗な形をしており、早速試着してみると履き心地が格段に良くなっていた。

展示会の中休みの今日、
90年代に作られた中古のカルバンクラインジーンズのチノパンに、リップラップのトープ色したソックス。そこに今回のライトグレーのプーマスエードを合わせてみた。

ペールトーンのスエードアッパーに、黒いフォームストリップと呼ばれるプーマのサイドラインは、ぼくが中学生の頃に履いていたGV SPECIALというモデルの配色と一緒なことをふと思い出した。

この靴はこれまでの歴史が物語っているように、これからどんな時代になっても馴染むような。とても素朴なスニーカーだと思う。


「おれも若いとき履いててね。細いビンテージっぽいの。いいね」







-POST FROM N

ジーンズ私記





<すべてのズボンはジーンズに憧れる>
谷川俊太郎 日々の地図 56p 「木綿私記 」より



リップラップでジーンズを作りはじめて2年ほど経った。
1ヶ月前の寒い日がもう思い出せない春、ぼくはジーンズをはきたくなる。

消費税が3%から5%になった頃、実家近所のジーンズショップでLevi’s 503を父親に買ってもらった。身長が小さく太っちょ少年だったぼくは、当時でいうところの「リラックスフィット」というモデルしか入らず、その一択にてジーパンデビューした。
とても嬉しくて。股下を採寸してくれ、その場でミシンを踏んで裾詰めしている店員さんの姿を今でも覚えている。

高校生の頃、バイトで得たお金を握りしめ金沢の”ONE”というお店で、当時流行っていたPOLO JEANSのただでさえ太いデニムの36インチを買い、それをデカばきの腰ばきで着用し、親から白い目で見られた。

20歳の頃、川崎港で朝から夕方までイオンの荷分けのバイトをしていた。その時着ていた派遣会社のトレーナーの背中には塩が残るほど汗をかき、はいていたジーンズは湿って重くなり着心地が悪く、コットン製品はこの仕事には向いていない。と、途中から化繊のパンツを着用するようになった。

23歳の頃、静岡の先輩からビンテージジーンズを譲り受け、それは今でも破れないように慎重にはいている。

…これらのジーンズの記憶はぼくに限ったことではなく、誰もが自分のストーリーを持っているんじゃないかと思う。

とくに機能的でなく、むしろ古典的ともいえる綿の5ポケットパンツになぜぼくたちは惹かれるのだろう?

それは、洗いたてのジーンズのざらっとした肌触りかもしれないし、
合成インディゴ特有の青黒い色が、着用と共に綺麗なブルーに変化していく過程かもしれない。
とにかく、必要最低限のパターン数でライン生産されているこのパンツにぼくはずっと魅力を感じている。

文頭で引用させてもらった谷川俊太郎さんの詩集の発行年は1982年。
およそ40年前より、ジーンズの存在は変わっていない事がうかがえる。



「おろしたてのジーンズをはいて、春の匂いのする場所へ出かけませんか?」



ぼくがはいているリップラップのジーンズはインディゴが馴染んできました。スラックスのように浮き出たセンタークリースがお気に入りです。



-POST FROM N

RIPRAPPING

久しぶりにルック撮影を行いました。
シューティングテーマは”RIPRAPPING”。

リップラップ= 傾斜の急な山の斜面に、石を固定し作られた、人や馬やロバが歩けるような石道のこと。
リップラッピング= 石道を作るための積み重ねる作業。

ぼくたちの屋号を動詞にしたタイトルです。

昨年の夏に、
「世情が常に変化している今、何をしたら物事を面白く捉える事ができるのか?
また、伝えることができるのか?」
そんなことを考えていたとき、
“Keep moving.”
というシンプルな言葉が胸にスッと入ってきました。

こんな時代、名詞ではっきりとした言葉を突きつけられるより、
言葉を動詞に変換した方が、印象が丸くなり心地よく響きます。

例えば、
ぼくはラップトップパソコンを開き、タイピングしてブロギングしています。
言葉が出てこなくて頭を掻キングして、タバコを吸ゥイングして書き終え、
そしてアップローディングして、あなたが今リーディングしています。
…少々イングが強引グですね。

話をテーマに戻します。

リップラッピングは石を積み重ねる行為です。
ぼくたちはいま立ち止まらず、日々の積み重ねを行うことが重要ではないでしょうか?

 

あなたは自分のスタイルをリップラッピングしていますか?

Keep moving. Riprapping.

 

今月末よりデリバリーがスタートします。
どうぞよろしくお願いします。

また、今回のルックはインスタグラムにて公開しています。
(ウェブサイト内LINE UPは来週公開します)

追記
この撮影はフォトグラファー小林直人くん、モデルは義父にお願いしました。
どうもありがとうございました!

-POST FROM N