彫刻家とプーマスエード




今年の正月明け早々、青山のスパイラルへ彫刻をやっている増井岳人さんの展示を見に行った。

岳人さんの作品は、人の首上の輪郭を柔らかな線で模った形状が特徴的で、今回の展示ではその輪郭の作品に蓄光塗料が塗られており、これまで以上にユニークな仕上がりになっていた。

一通り作品を見たあとは岳人さんと、いつもお世話になっている帽子屋の一歩さんと共に向かいの青山ブックセンターにあるカフェに行きコーヒーを飲みながら、ぼくが前日に観た映画”パラサイト”の話や、ポン・ジュノ作品の話をした。
「ソン・ガンホは日本で言うところの西田敏行なんじゃないか?」
「西野はパラサイトの地下に住んでいた家政婦の旦那みたいだな」
とか…いつもどおりのテキトーな話をしたり、されたりしてキャッキャと楽しんだ。

そろそろ岳人さんが展示会場に戻る時間になり、一緒に246沿いを歩いてるとき
「西野くんが履いてるそのプーマスエードは昔のなの?」
と言われ、
「いや、これは3,4年くらい前のモデルです。少し細く作られていて気に入ってるんスよ」
「いいねスエード。おれも若いとき履いててね。そんな感じの細いビンテージっぽいの。いいね」
と、褒められて嬉しくなった。

先週、リップラップの展示会にプーマジャパンの野崎さんが来てくれ、これから発売される新作のプーマスエードを頂いた。細く綺麗な形をしており、早速試着してみると履き心地が格段に良くなっていた。

展示会の中休みの今日、
90年代に作られた中古のカルバンクラインジーンズのチノパンに、リップラップのトープ色したソックス。そこに今回のライトグレーのプーマスエードを合わせてみた。

ペールトーンのスエードアッパーに、黒いフォームストリップと呼ばれるプーマのサイドラインは、ぼくが中学生の頃に履いていたGV SPECIALというモデルの配色と一緒なことをふと思い出した。

この靴はこれまでの歴史が物語っているように、これからどんな時代になっても馴染むような。とても素朴なスニーカーだと思う。


「おれも若いとき履いててね。細いビンテージっぽいの。いいね」







-POST FROM N