ヴォルフガング・ライプと蜜蜂の花粉

 

何気なくブランドのイメージカラーを黄色として洋服を作り始め、3年が経った去年の夏。

ブルーを連想するアーティストがイヴ・クラインなら、
イエローを連想するアーティストは誰なのか?

と思い立ち、
神保町の古書店「ボヘミアンズ・ギルド」に行って
ポカッと口を半分開けながら店内をウロウロ物色し、この本を購入した。

ヴォルフガング・ライプの東京国立美術館での展示カタログ。

無機質な美術館の空間に、膨大な量の花粉を丁寧に四角形に撒いた作品が載っていて、
「ああ。これ生で観たら鮮やかでキレイだろうなぁ。ああ。チョーカッコいい。。」
と、ため息が出たのと同時に、
「花粉症の人はこれ見ただけで鼻がムズムズするんだろうな。」
とも思った。

アートブックは、そのアーティストの展示を楽しみにイメージできた時点で買っちゃいますよね?

もうひとつ。その本には興味深い内容が序文に書かれてあった。
「花粉とは、そのひとつひとつが生命であり、その単純素朴なものにこそ複雑なものが隠されている。」

この言葉を読んで、ぼくは体中に花粉が付着した蜜蜂を連想した。

夢中になって花粉(生命)を食べている蜜蜂。
その行為は二次的に植物の受粉(交配)に繋がるけれど、
当の本人は、自分や自分たちの主観的欲求として満たしている。
とても羨ましい光景だと思った。

 

さて、ぼくたち人間はというと、
立川談志が生前、まくらでこのような事を話していた。
「人間は平和な時には客観的に物事を捉え、戦争になったら主観に走る。
おれはそれが反対になればいいと思っている。」

ぼくも全くそのとおりだと思う。

 

 

 
今週より、リップラップの新シーズンのデリバリーがスタートします。
テーマはこの話の内容そのままに”BEE POLLEN”。

花粉色した精神をもって生活をすると、今の世の中がもう少し楽しく映るかもしれません。
ある種ファッションを楽しむ事とは、
自分や自分たちの主観的欲求を満たす最たる手段であるといえます。

 
蜜蜂が花粉をたらふく食べている姿に思いを馳せて。

 
どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

-POST FROM N